今回は、住宅の断熱性能に関する営業トークについて解説した動画をご紹介します。
具体的には、断熱等級や「HEAT20」といった住宅の省エネ性能に関する基準、そしてそれらが建築費や電気代にどう影響するかについて説明されています。この情報を初心者向けにわかりやすくまとめつつ、具体例や数字を交えて説明していきます。
結論としては、高断熱を求めても、そのコスト以上に電気代や光熱費を削減できるわけではない、という話です。
断熱等級とその違い
「断熱等級5」や「断熱等級7(G3グレード)」といった住宅の省エネ基準があります。
これらの基準は、住宅の外壁や窓などからどれだけ熱が逃げるかを示すものです。数字が低いほど、住宅が熱を逃しやすく、高いほど断熱性能が高いことを意味します。
例として、断熱等級5の家は「0.6W/㎡K」という値で、これは1平米あたり0.6ワットの熱が外に逃げることを意味します。
一方、G3グレード(断熱等級7)の家は「0.26W/㎡K」という値で、同じ条件下で断熱性能が非常に高いことがわかります。この差は、家の快適さや電気代に大きな影響を与えます。
地域による違い
断熱性能は地域によっても異なります。動画では、山梨県などの「5地域」という分類が取り上げられています。
この地域は東京や神奈川、愛知県なども含まれ、温暖な地域に位置します。一方、東北地方のような寒冷地では「4地域」や「3地域」といった分類があります。
ここで重要なのは、地域ごとの気候条件によって断熱等級の選択が変わるという点です。
例えば、寒冷地では高い断熱性能が求められるため、G3グレードやそれ以上の性能が必要とされます。一方で、温暖な地域ではそこまで高性能な断熱は必ずしも必要ではないかもしれません。
電気代の違い
断熱性能の違いは電気代にも影響します。
動画では、外気温5度、室内温度25度の条件で、断熱等級5と7の家のエネルギー消費量を比較しています。
具体的には、断熱等級7の家では73Wの熱が逃げるのに対し、断熱等級5の家では166Wが逃げます。これは、100Wの電球が2個分以上のエネルギーが余分に必要であることを意味します。
これをさらに1年間の電気代で比較すると、断熱等級7の家は年間約1.4kWの電力消費に対し、等級5の家は約3.36kWの消費となります。これは、エアコン1台あたりの消費電力が大きく異なることを示しており、断熱等級が高い家の方が省エネ効果が期待できます。
しかし、実際の節約額はどうでしょうか?
動画では、35年間で電気代の差が約79万円になるとされています。
月額にすると、約1,878円の差です。これを「それほど大きな節約にはならない」と感じるか、「少しでも節約したい」と感じるかは、住む人の価値観次第です。
建築費の違い
次に、建築費についてです。動画では、G3グレードの高性能な家を建てるには、断熱等級5の家に比べて約340万円の追加費用がかかるとされています。
この差額は、窓の種類や外壁の断熱材の厚さ、さらにダブル断熱などの仕様によるものです。
断熱性能を上げることで、将来的には電気代の節約が見込める一方で、初期の建築コストは大幅に上がるため、短期間では費用対効果が低いという結果になります。
動画では、35年間で約261万円の持ち出しが必要になるという計算結果も紹介されており、断熱性能の向上が本当に長期的にお得かどうかは慎重に判断する必要があります。
まとめ
最終的に、動画の結論としては「断熱性能が高い家は快適で省エネ効果が期待できるが、そのために大きな追加費用が必要になる」という点が強調されています。
特に「G3グレード」や「断熱等級7」といった高性能な家は、初期コストが高いため、どれだけの節約が見込めるのかを事前にしっかりと計算し、長期的な視点で判断することが大切です。
また、最近では太陽光発電を活用したゼロエネルギーハウスや、G3グレード未満の家でも十分な性能を持つ住宅が増えてきており、必ずしも最高性能の住宅が必要とは限りません。
建築コストと電気代のバランスを考え、自分に合った住宅の選択をすることが重要です。
コメント