今回は、外壁材の選び方について深掘りし、特に窯業系サイディングに焦点を当てて解説した「工務店が言えない注文住宅」さんの動画をご紹介します。
「サイディング=メンテナンスが必要」と言われることが多いですが、それは本当なのでしょうか?工務店社長系のYouTube動画はポジショントークになりやすいですので、真実を学んでおきましょう。
外壁材の種類と現状
外壁材には主に以下の種類があります:
- 窯業系サイディング
- 金属系
- タイル
- 木材系
中でも窯業系サイディングは、現在の住宅市場で約8割のシェアを占める非常にポピュラーな外壁材です。
しかし、以前はその耐久性や施工のしやすさに問題があるとされていました。今回はサイディングのその進化とともに、現代の窯業系サイディングのメリット・デメリットを詳しく解説します。
窯業系サイディングとは?
窯業系サイディングは、セメントや繊維を主原料とする外壁材です。
「窯業」とは、粘土や岩などを高温で焼き固める技術のことを指し、陶器やタイルを作る方法と似ています。窯業系サイディングは耐久性に優れ、施工が容易なことから、多くの住宅で採用されています。
窯業系サイディングの進化
昔の問題点
過去には、窯業系サイディングには以下のような問題がありました:
- 耐久性の低さ:10年以内に色あせが発生し、定期的な補修が必要。
- 施工の難しさ:古い施工方法では、釘打ち部分にクラック(ひび割れ)が入りやすく、雨水の浸入や劣化を招きました。
- 見た目の劣化:コーキング(接合部分のシーリング材)の劣化が早く、外観が悪くなることがありました。
例えば、2000年以前はアスベストを含む窯業系サイディングも存在し、環境規制によりアスベストが禁止された後は耐久性に問題が生じました。そのため、一部の建築業者や顧客からは「窯業系サイディングは避けるべき」と言われることもありました。
現在の改善点
しかし、近年では技術の進化により、窯業系サイディングは大きく改善されています。
- 耐久性の向上:現在の窯業系サイディングは、20年以上の耐久性を持つ商品も登場しています。色あせやひび割れが少なく、メンテナンスの頻度も大幅に減少しました。
- 施工方法の改善:14mm以上の厚みを持つ製品が主流になり、特に15mm以上のサイディングは金具を使って施工するため、釘打ちに比べてクラックの発生が少なくなっています。
- デザインの進化:フルカラーインクジェット印刷により、タイルや木目調の外観が非常にリアルになり、デザイン性も大幅に向上しました。
たとえば、現在の窯業系サイディングは全体の8割の住宅で使用されており、その耐久性とコストパフォーマンスの高さが評価されています。
窯業系サイディングのメリット
1. 高い耐久性
最近の窯業系サイディングは、ノンアスベスト商品でも20年以上の耐久性を誇ります。特に、太陽光や雨風による影響が少ないため、長期間にわたり美しい外観を保つことができます。
2. 施工が容易でコストパフォーマンスが良い
窯業系サイディングはマニュアル化された施工方法により、工期が短縮され、コストも抑えられます。例えば、高性能な窯業系サイディングでも1平米あたり1万円程度で、タイルやモルタルに比べて経済的です。
3. 多様なデザイン
最新の窯業系サイディングでは、フルカラー印刷技術により、リアルなタイルや木目調のデザインが可能です。例えば、厚さ20mm以上の製品では、見た目がタイルとほぼ同じように見えるものもあります。
4. メンテナンスコストが抑えられる
窯業系サイディングの中には、40年間色あせしないという製品も登場しています。また、コーキングを使わないタイプのサイディングも増えており、接合部分のメンテナンスがほとんど不要になりました。
窯業系サイディングのデメリット
もちろん、窯業系サイディングにもデメリットは存在します。
1. タイルや金属サイディングに比べて耐久性に劣る
窯業系サイディングは非常に優れた耐久性を持っていますが、本物のタイルや金属サイディングにはまだ及ばない部分もあります。特に、タイルは極めて丈夫で、窯業系サイディングよりも長持ちする傾向があります。
2. コストの問題
窯業系サイディングは高性能な製品ほど価格が高くなります。例えば、20mmを超える高性能なサイディングは1平米あたり1万円を超える場合があります。
これに対し、従来の14mmの製品は4000円以下で購入可能ですが、耐久性や見た目の質が劣ります。
3. 重量の問題
窯業系サイディングはタイルに比べて軽量ですが、金属サイディングに比べると重く、耐震性ではやや劣る場合があります。
特に、地震の多い地域では、軽量な金属サイディングが選ばれることもあります。
窯業系サイディングと他の外壁材の比較
窯業系サイディング vs. タイル
- 耐久性:タイルは非常に耐久性が高いですが、窯業系サイディングも進化し、かなりの耐久性を誇ります。
- 価格:窯業系サイディングの方がタイルに比べて経済的です。
- 施工の容易さ:窯業系サイディングはタイルよりも施工が簡単で、工期も短縮されます。
窯業系サイディング vs. 金属系(ガルバニウム)
- 耐久性:金属系は特に耐震性に優れていますが、窯業系サイディングも進化しており、耐久性において大きな差はありません。
- デザイン:金属系はモダンなデザインに適していますが、窯業系サイディングは多様なデザインが可能です。
- 価格:金属系は窯業系サイディングに比べてやや高価ですが、長期的なコストパフォーマンスを考慮すると選択肢として検討できます。
窯業系サイディングの選び方
窯業系サイディングを選ぶ際に考慮すべきポイントをいくつか挙げます。
- メーカーの信頼性:大手メーカーの製品は品質が安定しており、アフターサービスも充実しています。
- 厚みと耐久性:最低15mm以上の厚みを持つ製品を選ぶことで、耐久性が確保されます。
- デザイン:住宅のスタイルに合ったデザインや色を選ぶことが大切です。フルカラー印刷による多様な選択肢があります。
- 価格:予算に応じて、最適なバランスを考慮しましょう。高性能なサイディングは初期コストが高くても、長期的にはメンテナンスコストを抑えることができます。
- 施工業者の選定:信頼できる施工業者を選び、正確な施工をしてもらうことが重要です。
まとめ
窯業系サイディングは、技術の進化により耐久性やデザイン性が大幅に向上し、多くの住宅で採用されています。
特に、その施工のしやすさやコストパフォーマンスの高さが魅力です。しかし、タイルや金属サイディングと比較すると、それぞれに異なる強みがあるため、住宅のスタイルや予算に合わせて最適な外壁材を選ぶことが大切です。
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