本記事は、YouTube動画『iDeCoの掛金上限アップがもうすぐ始まるって聞いたけど、どれくらいメリットがあるの?』の内容を基に構成しています。
老後資金を自分で準備するための制度として知られるiDeCoが、2026年12月から大きく変わる予定です。
今回の改正で特に注目されているのが、会社員や公務員が拠出できる掛金上限の引き上げです。動画では、会社員の掛金上限が現在の月2万円から2万3000円程度から、最大月6万2000円まで拡大すると説明されています。
掛金を増やせるようになれば、老後資金として運用できる金額が増えるだけでなく、所得控除による節税効果も大きくなります。
一方で、iDeCoには原則として60歳まで資金を引き出せないという大きな制約があります。また、運用した資産を受け取る際には課税される可能性があり、会社の退職金との関係を考えた出口戦略も必要です。
掛金上限が上がるからといって、すべての人が上限まで増額すればよいわけではありません。
この記事では、2026年12月から予定されているiDeCo改正の内容をはじめ、掛金を増額した場合の節税効果、30年間運用した場合の資産額、NISAとの違い、受け取り時の税金や退職所得控除の注意点まで詳しく解説します。
2026年12月からiDeCoの制度が大きく変わる
動画によると、2026年12月から予定されているiDeCoの主な改正内容は、大きく分けて2つあります。
1つ目は加入可能年齢の引き上げ、2つ目は掛金の拠出限度額の引き上げです。
どちらも老後資金を準備できる期間と金額を拡大する方向の改正であり、これまでよりもiDeCoを活用しやすくなると期待されています。
iDeCoの加入可能年齢が70歳未満まで拡大
現在のiDeCoは、一定の条件を満たす人が原則として65歳未満まで加入できる制度です。
しかし、改正後は老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないなどの条件を満たせば、70歳未満まで加入し、掛金の拠出を継続できるようになると説明されています。
これまでよりも長期間にわたって老後資金を積み立てられるため、働く期間が長くなっている現在の社会状況に対応した改正といえるでしょう。
近年は定年を65歳まで延長する企業や、定年後も継続雇用制度を利用して働く人が増えています。70歳近くまで働くことを想定する人にとっては、収入がある期間にiDeCoの所得控除を利用できる期間が長くなる可能性があります。
ただし、加入可能年齢が70歳未満に延長されたからといって、必ず70歳まで掛金を拠出しなければならないわけではありません。
自分の収入、生活費、老後資金の準備状況などを考えながら、掛金を出す期間を判断することになります。
自営業者の掛金上限は月7万5000円へ
自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者については、現在の掛金上限である月6万8000円から、月7万5000円へ引き上げられる予定です。
増額幅は月7000円です。
年間で考えると、現在の上限額は81万6000円ですが、改正後は90万円まで拠出できる計算になります。
自営業者は会社員のように厚生年金や会社の退職金が用意されていないことが多いため、自分で老後資金を準備する必要性が比較的高い立場です。
そのため、iDeCoの掛金上限が引き上げられることは、老後資金づくりの選択肢が広がるという意味でメリットがあります。
ただし、自営業者は収入が毎月安定しているとは限りません。売上が減少した場合や、事業でまとまった資金が必要になった場合でも、iDeCoに入れたお金は原則として60歳まで引き出せません。
掛金を増やす場合は、事業資金や生活防衛資金を十分に確保しておく必要があります。
会社員・公務員の掛金上限は月6万2000円へ
今回の改正で最も注目されているのが、会社員や公務員などの第2号被保険者です。
動画では、これまで月2万円から2万3000円程度だった掛金上限が、最大月6万2000円まで引き上げられると説明されています。
現在の上限と比較すると、3倍近い金額を拠出できるケースもあります。
仮に月2万3000円から月6万2000円まで増額すると、毎月の掛金は3万9000円増えます。年間では46万8000円の増額です。
この増額分も全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税の負担を大きく軽減できる可能性があります。
ただし、企業年金に加入している会社員については、企業側が拠出している掛金との合計額によって、実際にiDeCoへ出せる金額が変わる可能性があります。
そのため、自分が必ず月6万2000円まで拠出できるとは限りません。
勤務先に企業年金や企業型確定拠出年金がある人は、会社の制度と掛金額を確認する必要があります。
そもそもiDeCoとは何か
iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称です。
名称だけを見ると難しく感じますが、「個人型」「確定拠出」「年金」という3つの言葉に分けると理解しやすくなります。
個人が自分で準備する年金制度
「個人型」とは、国や勤務先の会社が一方的に準備する制度ではなく、自分自身が加入して老後資金を用意する仕組みであることを示しています。
公的年金は原則として一定の条件を満たす人が加入しますが、iDeCoは自分の意思で加入する私的年金制度です。
自分で掛金額を決め、自分で金融商品を選び、自分で運用していきます。
掛金は決まっているが受取額は運用成績で変わる
「確定拠出」とは、毎月拠出する掛金が決まっているという意味です。
将来受け取れる金額があらかじめ確定しているわけではありません。
iDeCoでは、投資信託や定期預金、保険商品などの中から自分で運用商品を選びます。そのため、最終的に受け取れる金額は選んだ商品の運用成績によって変わります。
運用が順調であれば、支払った掛金よりも資産を大きく増やせる可能性があります。
一方で、投資信託など価格が変動する商品を選んだ場合には、元本割れする可能性もあります。
原則60歳以降に受け取る老後資金
「年金」とあるように、iDeCoは老後資金を作るための制度です。
原則として60歳まで資産を引き出すことはできません。
60歳以降になれば、一時金としてまとめて受け取る方法、年金形式で分割して受け取る方法、金融機関によっては両方を組み合わせて受け取る方法を選べます。
この「60歳まで引き出せない」という仕組みは、老後資金を強制的に残せるという点ではメリットです。
しかし、住宅購入、教育費、病気、転職、失業などで資金が必要になった場合でも、簡単には引き出せません。
この資金拘束が、iDeCoを利用するうえで最も重要な注意点の1つです。
日本の年金制度におけるiDeCoの位置付け
日本の年金制度は、一般的に3階建ての仕組みとして説明されます。
1階部分は国民年金
1階部分は国民年金です。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が原則として加入する公的年金で、老後の基礎的な生活を支える役割があります。
自営業者、会社員、公務員、専業主婦など、職業にかかわらず基礎となる部分です。
2階部分は厚生年金
2階部分は厚生年金です。
会社員や公務員などが加入し、国民年金に上乗せして受け取る仕組みです。
厚生年金の保険料は給与などに応じて決まり、原則として勤務先と本人が負担します。
会社員は老後に国民年金と厚生年金の両方を受け取れるため、自営業者よりも公的年金が手厚い傾向があります。
3階部分は自分で用意する私的年金
3階部分は、企業年金やiDeCoなど、自分や勤務先が追加で準備する年金です。
iDeCoは、この3階部分に含まれます。
公的年金だけでは不足する可能性がある老後資金を、自分で補うための制度です。
少子高齢化や平均寿命の伸びにより、公的年金だけに頼らず、自分でも老後資金を準備する重要性が高まっています。
iDeCoは専用口座の中で金融商品を運用する制度
iDeCoの仕組みは、NISAと同じように「税制上の優遇が付いた専用の口座」と考えると分かりやすいでしょう。
iDeCoを始める際には、銀行や証券会社などでiDeCo専用口座を開設します。
その口座の中で投資信託、定期預金、保険商品などを選んで運用します。
投資信託を選べば価格変動によって資産が増減し、定期預金を選べば大きな値動きは少ないものの、高いリターンは期待しにくくなります。
iDeCoでは、自分の年齢、リスク許容度、運用期間などに応じて商品を選ぶことが重要です。
iDeCoの最大のメリットは掛金の全額所得控除
iDeCoには主に3つの税制優遇があります。
掛金を拠出したときの所得控除、運用中の利益の非課税、受け取るときの控除です。
なかでも動画で最大のメリットとして強調されているのが、掛金の全額所得控除です。
所得控除とは何か
会社員の給与には、そのまま税金がかかるわけではありません。
給与収入から給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引き、その後に残った課税所得を基準として所得税や住民税が計算されます。
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象です。
つまり、iDeCoに拠出した掛金の全額を課税所得から差し引くことができます。
課税所得が減れば、所得税と住民税の負担も減ります。
年収500万円で月1万円を拠出した場合
動画では、年収500万円の独身会社員がiDeCoに月1万円を拠出した場合、年間の節税額は約2万4000円になる例が紹介されています。
月1万円を1年間拠出すると、年間掛金は12万円です。
所得税と住民税を合わせた税率が約20%であれば、12万円の20%にあたる約2万4000円の税負担が軽減される計算です。
月1万5000円なら年間掛金は18万円となり、節税額は約3万6000円です。
月2万円なら年間掛金は24万円となり、節税額は約4万8000円になります。
このように、掛金を増やすほど所得控除額も増え、節税効果が大きくなります。
年収が高い人ほど節税効果が大きくなりやすい
住民税の所得割は、基本的に所得に対して一律10%です。
一方、所得税は所得が高くなるほど税率が上がる累進課税制度です。
そのため、同じ金額をiDeCoに拠出しても、適用される所得税率が高い人ほど節税額が大きくなります。
例えば、所得税と住民税を合わせた税率が20%の人が年間60万円を拠出した場合、単純計算で節税額は約12万円です。
合計税率が30%であれば、節税額は約18万円になります。
一方、所得が少なく所得税がほとんどかからない人は、iDeCoの所得控除によるメリットが小さくなります。
専業主婦や所得の少ないパート勤務の人などは、掛金の所得控除を十分に活用できない可能性があります。
そのような場合は、資金を自由に引き出せるNISAを優先した方が使いやすいこともあります。
月2万3000円から月6万2000円へ増額した場合の節税効果
動画では、掛金上限が引き上げられた場合の具体的な節税シミュレーションが紹介されています。
条件は次のように設定されています。
35歳の会社員で企業年金はなく、年収は600万円です。所得税と住民税を合わせた税率を30%とし、65歳までの30年間積み立てます。運用利回りは年5%を想定しています。
iDeCoの掛金は全額所得控除になるため、節税額はおおむね「年間掛金×税率」で考えることができます。
月2万3000円の場合は年間約8万3000円の節税
月2万3000円を拠出すると、年間掛金は27万6000円です。
税率を30%とすると、年間の節税額は約8万2800円です。動画では約8万3000円と説明されています。
30年間続けた場合、単純計算では約248万円の節税になります。
実際には収入や税率が変わる可能性がありますが、長期間積み立てることで節税効果が積み上がっていきます。
月6万2000円の場合は年間約22万3000円の節税
月6万2000円を拠出すると、年間掛金は74万4000円です。
税率を30%とすると、年間の節税額は約22万3200円になります。
動画では約22万3000円とされています。
月2万3000円の場合と比べると、年間の節税額は約14万円増えます。
30年間では、単純計算で約420万円の差です。
この節税効果は、投資信託の価格が上がったか下がったかにかかわらず、掛金を拠出して所得控除を受けることで得られます。
相場の値動きとは直接関係なく得られる効果であることから、動画ではiDeCoの最大のメリットとして紹介されています。
ただし、税金をほとんど払っていない人は、同じ節税効果を得ることはできません。
掛金の増額で30年後の資産額はどれだけ変わるのか
iDeCoの掛金を増やせば、所得控除だけでなく、将来運用できる元本も増えます。
動画では、年利5%で30年間運用した場合の資産額が比較されています。
月2万3000円を30年間積み立てた場合
月2万3000円を30年間積み立てると、拠出元本は約828万円です。
動画では元本を約822万円として紹介していますが、単純に2万3000円×12か月×30年で計算すると828万円になります。
年利5%で運用した場合、30年後の資産額は約1900万円前後になる計算です。
動画では、運用益を約1092万円、元本と利益の合計を約1914万円として説明しています。
運用利回りは一定ではなく、実際の資産額は市場環境や選んだ商品によって変わります。
それでも、長期にわたって積み立てることで複利効果を得られる可能性があります。
月6万2000円を30年間積み立てた場合
月6万2000円を30年間積み立てると、拠出元本は約2232万円です。
動画では元本を約2223万円として紹介しています。
年利5%で運用した場合、運用益は約2937万円となり、元本と運用益を合わせた資産額は約5160万円になるという試算です。
月2万3000円を積み立てた場合との差は、約3250万円に達します。
毎月の掛金の差は3万9000円ですが、30年間の元本差に加えて、長期運用による複利効果が加わるため、最終的な資産額の差は大きくなります。
ただし、年利5%は将来の運用成果を保証するものではありません。
株式を中心とする投資信託では、短期的に大きく値下がりすることもあります。運用期間中に元本割れする可能性もあるため、試算額はあくまで一定の利回りで運用できた場合の参考値として考える必要があります。
掛金上限が上がっても全員が増額すべきとは限らない
節税額や将来資産のシミュレーションを見ると、できるだけ上限まで掛金を増やした方がよいと感じるかもしれません。
しかし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。
老後資金を準備するには優れた仕組みですが、日常生活や近い将来に使う予定のお金まで拠出すると、家計が苦しくなる恐れがあります。
増額を検討しやすい人
iDeCoの増額を検討しやすいのは、まず生活防衛資金を十分に確保している人です。
生活防衛資金とは、病気、失業、収入減少、急な出費などに備えて、普通預金などですぐに使える状態にしておくお金です。
動画では、生活費の半年分から1年分程度を現金で用意する目安が紹介されています。
また、すでにNISAを活用しており、それでも余裕資金がある人もiDeCoの増額を検討しやすいでしょう。
NISAはいつでも売却して資金を引き出せるため、iDeCoよりも柔軟性があります。そのうえで老後まで使わない資金が残っているなら、iDeCoを追加する選択肢があります。
所得税率が高い人も、iDeCoのメリットが大きくなりやすい層です。
所得税は累進課税であるため、年収が高く税率も高い人ほど、掛金の所得控除による節税額が増える傾向があります。
急いで増額しない方がよい人
住宅購入、結婚、出産、教育費など、大きな支出を近い将来に予定している人は慎重になる必要があります。
住宅購入の頭金や子どもの教育費として必要になる可能性があるお金をiDeCoに入れると、必要な時期に引き出せません。
所得が少なく、所得税をほとんど支払っていない人も、所得控除の恩恵が小さくなります。
特に、扶養の範囲内で働く人や専業主婦などは、iDeCoよりもNISAを優先した方がよい場合があります。
家計に余裕がなく、貯金が十分でない人も、まずは現金を確保することが重要です。
税制優遇を受けるために日常生活が苦しくなったり、カードローンなどの借入れが必要になったりしては本末転倒です。
掛金上限は、必ず拠出しなければならない目標金額ではありません。あくまで拠出できる最大額です。
自分の家計に無理のない範囲で設定することが大切です。
NISAとiDeCoはどちらを優先すべきか
資産形成を始める際、NISAとiDeCoのどちらを優先すべきか迷う人は少なくありません。
どちらも税制優遇を受けながら資産を運用できる制度ですが、目的と使い勝手には大きな違いがあります。
NISAは途中で自由に引き出せる
NISAの大きなメリットは、運用資産をいつでも売却し、引き出せることです。
老後資金だけでなく、住宅購入、教育費、旅行、車の購入など、幅広い目的に利用できます。
NISA口座自体には基本的に口座管理手数料がなく、運用益や売却益、配当金などが一定の条件で非課税になります。
受け取り時に特別な課税関係を考える必要もなく、比較的シンプルな制度です。
2024年から始まった新NISAでは、非課税保有期間が無期限となり、年間投資枠や生涯投資枠も大幅に拡大されました。
資産形成を初めて行う人にとっては、NISAの方が分かりやすく、使いやすい制度といえます。
iDeCoは掛金が所得控除になる
iDeCoの最大の特徴は、掛金の全額が所得控除になることです。
NISAでは、投資に使った金額を所得から差し引くことはできません。
そのため、所得税や住民税を多く支払っている人にとっては、iDeCoの方が拠出時の節税効果は大きくなる可能性があります。
一方、iDeCoは原則として60歳まで引き出せず、加入時や運用中に手数料がかかります。受け取り時には税金について考える必要もあります。
迷った場合はNISAを優先する考え方もある
動画では、NISAとiDeCoで迷った場合は、まずNISAを優先してもよいという考えが示されています。
NISAは資金の途中引き出しができ、受け取り時の課税も基本的にありません。
特に20代や30代は、結婚、出産、住宅購入、転職、独立など、今後のライフステージが変化しやすい年代です。
老後まで長期間資金を固定するiDeCoより、必要に応じて引き出せるNISAの方が使いやすい可能性があります。
新NISAの非課税枠を十分に活用するだけでも、長期的な資産形成は可能です。
iDeCoを優先しやすい人とは
NISAよりもiDeCoを優先する選択肢が考えられるのは、老後資金を目的として確実に資産を残したい人です。
40代や50代で老後資金を準備したい人
動画では、40代以降で老後資金を本格的に準備したい人にとって、iDeCoは有力な選択肢になると説明されています。
40代や50代は、20代や30代と比べて60歳までの資金拘束期間が短くなります。
子どもの教育費や住宅購入などの大きな支出がある程度見えている人も多く、老後に使うお金と、それ以前に使うお金を分けやすくなる年代です。
さらに、40代や50代は収入が高くなっていることが多く、所得控除による節税メリットも大きくなる可能性があります。
年収が高く所得税率が高い人
所得税率が高い人ほど、同じ掛金でも節税額が大きくなります。
そのため、比較的年収が高い会社員や公務員にとって、iDeCoは魅力的な制度です。
今回の改正によって月6万2000円まで拠出できるようになれば、年間74万4000円が所得控除の対象となります。
税率が高い人ほど、毎年大きな税負担の軽減につながる可能性があります。
強制的に老後資金を残したい人
貯金や投資資金を途中で使ってしまう傾向がある人にとって、60歳まで引き出せない仕組みはメリットにもなります。
自由に引き出せないからこそ、老後資金を強制的に積み立てられます。
ただし、強制力がある分、掛金の設定は慎重に行う必要があります。
生活費を圧迫しない金額に抑えることが重要です。
iDeCoでは加入時と運用中に手数料がかかる
iDeCoは税制上のメリットが大きい一方で、NISAにはない手数料がかかります。
加入時の手数料
iDeCoへ新規加入する際には、国民年金基金連合会に対して2829円の手数料を支払います。
これは加入時に1度だけ発生する手数料です。
掛金を拠出している間の手数料
動画では、掛金を拠出している期間中、国民年金基金連合会に月105円、資産を管理する信託銀行に月66円、合計月171円が最低限必要と説明されています。
年間では2052円です。
加えて、利用する金融機関によっては、運営管理機関手数料として毎月数百円がかかる場合があります。
ただし、SBI証券や楽天証券など、運営管理機関手数料を無料としている金融機関もあります。
長期にわたって利用する制度であるため、金融機関を選ぶ際は商品ラインアップだけでなく、手数料も確認する必要があります。
掛金を停止して運用だけを続ける場合
掛金を出さず、すでに積み立てた資産の運用だけを続ける場合でも、資産管理のための手数料がかかります。
動画では、この場合は月66円と説明されています。
金額は大きく見えないかもしれませんが、運用資産が少ない状態では手数料の負担割合が高くなります。
特に毎月の掛金が少ない人や、元本確保型商品だけで運用する人は、手数料によって実質的な利回りが低下する可能性があります。
2027年1月から一部手数料が値上げ予定
動画では、国民年金基金連合会に支払う月105円の手数料が、2027年1月から月120円に引き上げられる予定と説明されています。
その場合、掛金を拠出している人の最低手数料は、信託銀行に支払う月66円と合わせて月186円となります。
制度改正や手数料は変更される可能性があるため、実際に加入や増額をする際は、最新情報を確認することが重要です。
iDeCoは運用中の利益が非課税になる
通常の課税口座で投資信託などを運用すると、売却益や分配金に対して約20%の税金がかかります。
iDeCo口座内で得た運用益には、運用中の税金がかかりません。
利益をそのまま再投資できるため、長期間運用するほど複利効果を得やすくなります。
ただし、iDeCoは運用中に非課税であっても、最終的な受け取り時に課税される可能性があります。
ここがNISAとの大きな違いです。
iDeCo最大の注意点は受け取り時の課税
iDeCoは、掛金を拠出するときに所得控除を受けられ、運用中の利益も非課税になります。
しかし、60歳以降に資産を受け取るときには、受け取り方に応じて税金がかかる可能性があります。
iDeCoは完全に無税になる制度ではなく、課税を受け取り時まで繰り延べる仕組みという側面もあります。
一時金として受け取る場合
iDeCoの資産を一括で受け取る場合は、退職所得として扱われます。
この場合、退職所得控除を利用できます。
退職所得控除は非常に大きな控除であり、受取額が控除の範囲内に収まれば税金はかかりません。
控除を超えた場合でも、原則として超過額の2分の1だけが課税対象になります。
そのため、iDeCoでは一時金として受け取る方法が有力な選択肢になります。
年金形式で受け取る場合
年金として分割して受け取る場合は、雑所得として扱われます。
この場合は、公的年金等控除を利用できます。
ただし、国民年金や厚生年金など、ほかの公的年金も合わせて計算されるため、受取額によっては税金や社会保険料に影響する可能性があります。
一時金と年金を併用する方法
金融機関によっては、一部を一時金として受け取り、残りを年金形式で受け取る方法も選べます。
退職所得控除と公的年金等控除を組み合わせることで、税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、最適な受け取り方は、会社の退職金、公的年金、iDeCoの資産額、受け取り時期、ほかの所得などによって異なります。
退職所得控除の計算方法
一時金で受け取る場合に使える退職所得控除は、勤続年数またはiDeCoの掛金を拠出した期間に応じて計算されます。
拠出期間が20年以下の場合は、原則として「40万円×年数」です。
拠出期間が20年を超える場合は、「800万円+70万円×20年を超えた年数」で計算されます。
例えば、iDeCoへ30年間掛金を拠出した場合は、次のようになります。
800万円+70万円×10年=1500万円
このケースでは、iDeCoの一時金が1500万円以内であれば、退職所得控除の範囲に収まるため、原則として退職所得に対する税金はかかりません。
一時金が1500万円を超えた場合でも、控除を超えた金額の2分の1が課税対象です。
例えば、一時金が2000万円で控除が1500万円なら、差額は500万円です。
その2分の1となる250万円が課税退職所得になります。
会社の退職金とiDeCoの一時金は調整が必要
会社員が特に注意したいのが、会社から支給される退職金とiDeCoの一時金との関係です。
会社の退職金も、iDeCoの一時金も退職所得として扱われます。
両方を近い時期に受け取ると、退職所得控除をそれぞれで完全に利用できない可能性があります。
同じ年に受け取る場合
会社の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取る場合、原則として合算して退職所得を計算します。
退職所得控除は、会社の勤続年数とiDeCoの拠出期間を単純に両方足して2回使えるわけではありません。
重複する期間が調整されるため、受け取り方によっては税負担が増える可能性があります。
従来は5年差を空ける出口戦略が注目されていた
動画では、従来の代表的な出口戦略として、iDeCoの一時金を60歳で受け取り、会社の退職金を65歳で受け取る方法が紹介されています。
従来のルールでは、会社の退職金を受け取る年の前年以前4年以内に受け取った退職一時金が調整対象とされていました。
そのため、受け取り時期を5年以上空けることで、iDeCoと会社の退職金の両方で退職所得控除を活用できる可能性がありました。
一般に「5年ルール」と呼ばれる考え方です。
2026年から退職所得控除の調整期間が10年に拡大
動画では、2026年から退職所得控除の調整ルールが変更される点も紹介されています。
これまで前年以前4年以内だった調整対象期間が、前年以前9年以内に拡大されると説明されています。
つまり、受け取り時期を5年空けるだけでは足りず、10年以上空ける必要が出てくることになります。
60歳でiDeCo、65歳で退職金を受け取る方法が難しくなる
例えば、iDeCoの一時金を60歳で受け取り、会社の退職金を65歳で受け取るとします。
従来は5年の間隔があるため、それぞれで退職所得控除を活用しやすい方法とされていました。
しかし、調整対象が前年以前9年以内に拡大されると、5年しか空いていないため、会社の退職金を受け取る際にiDeCoの一時金との重複期間が調整される可能性があります。
両方の退職所得控除を完全に使うには、iDeCoを60歳で受け取り、会社の退職金を70歳以降に受け取るといった対応が必要になる可能性があります。
しかし、70歳まで退職金の受け取りを遅らせられる会社は多くありません。
そのため、従来の5年ルールを使った出口戦略は、実質的に利用しにくくなると動画では指摘されています。
退職金を先に受け取る場合は別のルールがある
会社の退職金を先に受け取り、その後にiDeCoの一時金を受け取る場合には、別の調整ルールがあります。
動画では、確定拠出年金の一時金を受け取る際、前年以前19年以内に受け取った退職金が調整対象になると説明されています。
この場合、退職金とiDeCoの間隔を20年以上空けなければ、それぞれで控除を完全に使うことが難しくなります。
例えば45歳で会社を退職して退職金を受け取り、65歳でiDeCoを一時金として受け取れば、20年の間隔が空きます。
しかし、一般的な会社員にとって、このような受け取り方を実現するのは簡単ではありません。
会社の退職金が少ない人は影響が小さい場合もある
退職所得控除のルール変更が、すべての会社員に大きな不利益を与えるとは限りません。
会社から受け取る退職金が少ない人や、退職金制度自体がない会社に勤めている人は、iDeCoの一時金が退職所得控除の範囲に収まる可能性があります。
また、60歳で会社の退職金を受け取り、iDeCoの受け取り時期を遅らせる場合など、状況によって税負担は変わります。
大切なのは、自分の会社の退職金制度、予想される退職金額、勤続年数、iDeCoの運用資産額を確認することです。
一般的な出口戦略をそのまま当てはめるのではなく、自分のケースで計算する必要があります。
退職金とiDeCoを同時に受け取っても非課税になるケース
動画では、会社員が退職金800万円とiDeCo資産650万円を同時に受け取る事例が紹介されています。
会社の勤続年数を30年、iDeCoの加入期間を20年とします。
受取額の合計は次のとおりです。
800万円+650万円=1450万円
勤続年数30年の場合の退職所得控除は、次のように計算されます。
800万円+70万円×10年=1500万円
受取額1450万円より退職所得控除1500万円の方が大きいため、このケースでは退職所得に対する税金は0円となります。
会社の退職金とiDeCoを同じ年に受け取ったとしても、合計額が退職所得控除の範囲内であれば課税されません。
自営業者がiDeCoを1500万円受け取る場合の税金
動画では、自営業者がiDeCoへ20年間加入し、一時金として1500万円を受け取る例も紹介されています。
自営業者には会社の退職金がないものとします。
iDeCoの拠出期間が20年の場合、退職所得控除は次のとおりです。
40万円×20年=800万円
受取額1500万円から退職所得控除800万円を差し引くと、700万円です。
退職所得では、控除後の金額の2分の1が課税対象になります。
700万円×1/2=350万円
この350万円に所得税と住民税がかかります。
動画の試算では、所得税が約27万2500円、住民税が35万円となり、合計税額は約62万円です。
1500万円を受け取った際に約62万円の税金が発生する計算ですが、運用期間中には毎年の所得控除を受けています。
受け取り時の税金だけを見るのではなく、拠出期間中に得た節税効果と合わせて判断することが重要です。
受け取り時に課税されてもiDeCoは本当に得なのか
iDeCoの出口課税を知ると、本当に利用するメリットがあるのか疑問に感じる人もいるでしょう。
動画では、拠出時の節税額と受け取り時の税額を比較するシミュレーションが紹介されています。
40歳から月5万円を20年間積み立てるケース
40歳から60歳まで、毎月5万円をiDeCoで積み立てるとします。
年利5%で運用した場合、60歳時点の資産額は約2029万円になる想定です。
会社からの退職金を800万円とすると、受取額の合計は2829万円です。
会社の勤続年数が30年の場合、退職所得控除は1500万円となります。
2829万円-1500万円=1329万円
この2分の1となる約665万円が課税退職所得です。
動画の試算では、所得税が約90万2500円、住民税が約66万円、合計で約156万円の税金がかかるとされています。
一方、年収1000万円の人が20年間iDeCoへ月5万円を拠出した場合、拠出期間中の節税額は合計約516万円になるという試算です。
受け取り時の税額約156万円より、拠出期間中の節税額約516万円の方が大きいため、税制面ではメリットが残ります。
さらに、運用益が非課税で再投資される効果もあります。
50歳から月5万円を10年間積み立てるケース
次に、50歳から60歳までの10年間、毎月5万円を積み立てるケースです。
年利5%で運用した場合、60歳時点のiDeCo資産は約772万円になる想定です。
会社の退職金800万円と合わせると、受取額は1572万円です。
退職所得控除を1500万円とすると、控除を超える金額は72万円です。
その2分の1となる36万円が課税対象になります。
動画の試算では、所得税が約1万8000円、住民税が約3万6000円で、合計税額は約5万4000円です。
一方、年収1000万円で10年間月5万円を拠出した場合の節税額は約258万円とされています。
このケースでも、受け取り時の税額より、積立期間中の節税効果の方が大幅に大きくなります。
40代・50代はiDeCoを検討しやすい年代
動画のシミュレーションからは、40代や50代にとってiDeCoが有力な選択肢になる可能性が示されています。
40代や50代は、60歳までの期間が20代や30代より短いため、資金拘束による不便を感じる期間も比較的短くなります。
また、会社員の場合は収入が高くなっていることが多く、所得控除の節税効果も大きくなりやすい年代です。
退職所得控除の範囲内に受取額が収まれば、出口の税金を抑えられる可能性もあります。
ただし、掛金上限の引き上げによって運用資産が大きく育つほど、受け取り時の課税額も増える可能性があります。
これまで以上に出口設計が重要になると考えられます。
iDeCoを始める金融機関の選び方
iDeCoを始めるには、銀行や証券会社などの金融機関を選ぶ必要があります。
金融機関によって、取り扱っている商品や手数料が異なります。
運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶ
iDeCoは長期にわたって利用する制度です。
毎月数百円の手数料でも、20年、30年と続ければ大きな差になります。
そのため、運営管理機関手数料が無料の金融機関を選ぶことが基本です。
動画では、楽天証券やSBI証券などのネット証券が候補として紹介されています。
低コストのインデックスファンドを確認する
投資信託で運用する場合は、信託報酬と呼ばれる運用管理費用も確認する必要があります。
信託報酬は投資信託を保有している間、継続的に差し引かれるコストです。
同じような指数に連動する商品であれば、信託報酬が低い商品の方が、長期的には運用効率が高くなりやすい傾向があります。
全世界株式や米国株式などに連動する低コストのインデックスファンドが用意されているかを確認するとよいでしょう。
ただし、どの商品が適しているかは、年齢やリスク許容度によって異なります。
元本割れを避けたい人は定期預金などを選ぶこともできますが、インフレに負ける可能性や、高い運用益を期待しにくい点に注意が必要です。
すでにiDeCoを利用している人の増額方法
すでにiDeCoへ加入している人が掛金を増額する場合は、利用中の金融機関から掛金額変更のための書類を取り寄せ、手続きを行うことになります。
改正後に自動的に掛金が増えるわけではありません。
自分で変更手続きを行う必要があります。
また、企業年金がある会社員は、会社が拠出している掛金額によって、自分がiDeCoへ拠出できる上限が変わる可能性があります。
増額手続きを行う前に、勤務先の人事部や総務部、企業年金の担当窓口などへ確認しておくと安心です。
掛金を増やす前に確認したいこと
掛金上限の引き上げは、老後資金を増やしたい人にとって魅力的な改正です。
しかし、増額を決める前には、家計全体を確認する必要があります。
まず、生活費の半年分から1年分程度の現金が確保できているかを確認します。
次に、住宅購入、教育費、車の買い替え、結婚、介護など、近い将来に予定されている大きな支出がないかを考えます。
高金利の借金がある場合は、iDeCoの増額よりも返済を優先した方がよい可能性があります。
また、NISAの利用状況も確認します。
途中で使う可能性のある資金はNISA、60歳まで使わないと決められる資金はiDeCoというように、目的に応じて使い分ける方法があります。
さらに、会社の退職金制度と見込額を確認し、iDeCoの一時金と合わせたときに退職所得控除をどの程度使えるかを考えることも大切です。
掛金上限アップで重要性が増す出口設計
これまで会社員のiDeCo掛金は月2万円程度に制限されるケースが多く、30年間積み立てても資産額には一定の上限がありました。
しかし、月6万2000円まで拠出できるようになれば、長期運用によって5000万円を超える資産に成長する可能性もあります。
資産額が大きくなるほど、退職所得控除を超える金額も増え、受け取り時の課税が発生しやすくなります。
そのため、今後は「いくら積み立てるか」だけでなく、「何歳で、どの方法で受け取るか」まで考える必要があります。
一時金、年金、併用のどれを選ぶかによって税負担は変わります。
会社の退職金を受け取る時期や、公的年金を受け取り始める時期も関係します。
税制は今後も改正される可能性があるため、実際に受け取る時期が近づいたら、その時点の制度に基づいて再検討する必要があります。
まとめ
2026年12月から予定されているiDeCo改正では、加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられ、掛金の上限も大幅に拡大される見通しです。
自営業者の掛金上限は月6万8000円から月7万5000円へ引き上げられ、会社員や公務員は条件によって最大月6万2000円まで拠出できるようになると説明されています。
特に会社員にとっては、これまでの月2万円から2万3000円程度と比べ、老後資金として積み立てられる金額が大きく増える改正です。
動画の試算では、年収600万円、税率30%の会社員が掛金を月2万3000円から月6万2000円に増額すると、年間の節税額は約14万円増加します。
30年間では、節税額の差が約420万円になる計算です。
さらに年利5%で30年間運用できた場合、月2万3000円と月6万2000円では、最終的な資産額に約3250万円の差が生まれるという試算も紹介されています。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。
住宅購入や教育費などの支出が近い人、生活防衛資金が不足している人、所得税をほとんど支払っていない人は、急いで増額しない方がよい場合があります。
資金の自由度を重視する場合は、いつでも売却して引き出せるNISAを優先する考え方もあります。
一方、40代や50代で老後資金を本格的に準備したい人、所得税率が高い人、老後資金を強制的に残したい人にとっては、iDeCoの活用価値が高まる可能性があります。
また、iDeCoは受け取り時に課税される可能性があります。
特に会社の退職金がある人は、退職所得控除の調整ルールを理解し、iDeCoの一時金との受け取り時期を考える必要があります。
掛金上限が引き上げられ、運用資産が大きくなるほど、出口設計の重要性も高まります。
掛金を上限まで増やすこと自体を目的にするのではなく、現在の家計、今後の支出、NISAの利用状況、税率、退職金制度、老後に必要な資金を総合的に確認したうえで、自分に適した金額を決めることが大切です。
なお、税制やiDeCoの具体的な制度内容、施行時期、掛金上限、手数料、退職所得控除の扱いは今後変更される可能性があります。実際に加入、増額、受け取りを行う際には、金融機関、勤務先、国民年金基金連合会、税務署、税理士などを通じて最新の情報を確認してください。
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