
今回は、「レンジブレイクアウト手法」について説明します。
FXのエントリー手法の中でも、レンジブレイクアウトは最もシンプルかつ実践しやすい手法です。
きっとあなたもブレイクアウトを狙ってエントリーした経験があるのではないでしょうか?
しかし、レンジブレイクアウト実践者が口をそろえて言うのは 「騙しが多いから苦手」と言う意見。
確かに、ブレイクアウトは爆発的な利益が出る可能性がある反面、ダマシも多く、結果としては低勝率のトレード手法になる傾向が多いです。
ですが、「どういう時にだましが少なく、どういう時にだましが入りやすいのか」といった判断基準を持っていれば、高い勝率を維持しながらブレイクアウトを狙えます。
今回は
- 成功しやすいレンジブレイクアウト
- 失敗しやすいレンジブレイクアウト
と分けて解説していきます。
「ブレイクアウトでいつもやられてるわぁ・・・」と言う方は必見です。
失敗しやすいレンジブレイクアウト
まずは失敗しやすいレンジブレイクのパターンから解説していきます。
下の図が失敗しやすいブレイクです。
緑色の枠の中がレンジで、そこを下に抜けたところでエントリーの例です。
このケースでエントリー直前までの流れとして、レンジ上限からレンジ下限まで、一直線に下落しています。
このように途中で一切揉むことなく、レンジ上限を試しに行って、その後レンジ下限をブレイクした時は、レンジブレイクアウトの失敗を疑ってください。
それはなぜでしょうか?
チャートの向こう側にいるトレーダーのことを考えれば見えてきます。
まず今回のようなケースでは、レンジの上限から売りをしているトレーダーがいます。
レンジ上限で売りをした場合、あなたなら利食い目標はどこにしたいですか?
多くのケースでレンジ下限が目標になります。
ですので今回のようなケースでは、レンジの下限を少し抜けた後に、売りの利食い=買い注文が入ってしまうことが考えられます。
つまり、レンジ下限を抜けた後に、売りの利確の買い注文が入ると、レートは上がる可能性が高いのです。
このブレイクアウトが成功するためには、
- 緑色のボックスの中の『買いポジの損切り=売り注文』
- レンジ抜けをブレイクアウトで狙う『新規の売り』
この2つのパワーが強くないとレンジブレイクアウトは成功しないのです。
今回のようなケースでは、レンジ上限より売りを仕掛けているトレーダーの利確の買い注文が入ります。
買い注文が多いと価格は当然上がっていきますよね。
レンジブレイクアウトは、すでに売っていたトレーダーの利食い注文により阻止されてしまう可能性が高いです。これについては常に注意しておいてください。
もちろん、前述のレンジブレイクアウトが成功するための2つのパワーが強烈な場合は、利食いの買い注文をものともせずに下げていくこともあります。しかし、「そうなる確率は低い」と言うことになります。
ですから、こういった形状でのブレイクアウトでの売りはやめておいて、とりあえずは動きだけを見ることをお勧めします。
その後、レンジ下限を抜けてのならば、「戻り売りをする」、反発して上げてきたらロングする、というシナリオで良いと思います。
微妙なレンジブレイクアウト
続いて、「微妙なレンジブレイクアウト」です。
失敗するレンジブレイクよりは信頼性はあるけど、「自信をもってエントリーできる」とは言いづらいかなぁ・・・と言うレベルの成功するか失敗するか判断が難しい局面です。
それが以下の図となります。
先程の失敗しやすいレンジブレイクアウトとの違いは、レンジ上限からレンジ下限まで進む波動の形成途中で、小競り合いが起こっている点ですね。(黄土色で囲ったところが小競り合いです。)
小競り合いとは、少なからず「売り買いの攻防があった」ことを示しています。
では、売り買いの攻防とは一体何なのでしょうか?
もちろん色々と考えられるので確定ではありませんが、しかし1つ考えられるのは、「レンジ上限から売っていた人たちの一定数は利確しているであろう」ということです。
全員ではありません。あくまで一定数です。
ではそう仮定すると、レンジ抜けた局面ではどういうことを考えるべきでしょうか?
先程の失敗しやすいレンジブレイクアウトのケースでは、『レンジ上限で売りをしていた人たちの利確が入りやすいから、ブレイクアウト失敗になりやすい』と解説しました。
では、今回のケースはどうでしょう。
黄土色の小競り合いのゾーンの中で、レンジ上限から売りを仕掛けていた人々が、一定数利確しているとします。
そうであるならば、レンジ下限を抜けてから、「利確する人々が少ない」と考えることが出来るのです!
つまり、失敗しやすいブレイクアウトのケースよりは、ややブレイクアウトの成功率が高いと言えるのです。
しかし結局は前述の通り
- 緑色のボックスの中の『買いポジの損切り=売り注文』
- レンジ抜けをブレイクアウトで狙う『新規の売り』
この2つの売りの力が強くないと、レンジブレイクアウト成功には繋がりませんので、これは微妙だと判断するのです。
だからやはりここも、「レンジを抜けた後の戻り売り」が戦略としては一番ありだと思います。
成功しやすいレンジブレイクアウト
それではお待ちかねの、「成功しやすいレンジブレイクアウト」について説明します。
ここでの最大の特徴は、「レンジブレイクの直前で小競り合いが起こっている」ということです。
ではどうして、レンジブレイク直前の小競り合いがあることで成功しやすいレンジブレイクアウトにつながるのでしょうか?
ここでも、「小競り合いの意味」を考えると見えてくることがあります。
するとやはりこここも、「売り買いの攻防」が起こったと考えられます。
ということは、この緑色のボックスを下に抜ける時は、この売り買いの攻防戦の勝者は、売り勢力ということになります。
つまり敗者は、「買い勢力」です。
負けた買い勢力は損切りをします。
買いの損切り=売り注文ですから、レンジの下限で売り注文が発生しやすいと考えられるわけです。
ではここで、「失敗しやすいレンジブレイクアウト」と「微妙なレンジブレイクアウト」で解説したレンジ上限で売りを仕掛けた人の利確の可能性をどう考えていけば良いのでしょうか?
これも色々考えられるのですが、レンジ上限から売った人は、レンジ下限の小競り合いで決済している可能性が高いと考えられます。
なぜなら、レンジ下限でピタッと止まっていますので、レンジ上限で売っていた人も目標達成しています。
そう考えれば、レンジ下限を抜けてから利確による買い注文は入りにくいと考えられます。
つまりこのケースでは、
- 小競り合い下抜けによる買いの損切り注文が入りやすい
- レンジ上限から売っていた人々の利確が入りにくい
といった現状をことを考慮すると、「レンジブレイク後は素直に下がっていきやすい」と考えることができるのです。
売りに有利な条件が買いに有利な条件に比べて多ければ、「明確にブレイクする」と判断して売ることで、勝率を高められるのです。
レンジブレイクアウトの判断・だましの見極め
今回は、勝ちやすいレンジブレイクアウトのパターンについて解説しました。
レンジブレイクだまし見極めのコツは、ブレイクするまでの流れの中で「小競り合い(売り買いの攻防)があるかどうか」です。
レンジブレイクアウトが成功できるかどうかは、市場にどんな心理のトレーダーがいて、どれだけポジションを保有しているのかを見極めることが重要です。
- 損切りしてしまうトレーダーの心理
- 利益確定を入れたくなるトレーダーの心理
- 新規でポジションを建てたくなるトレーダーの心理
これらのトレーダーの心理が、レンジブレイクアウトの成功・失敗を分けます。
チャートを見る段階で、チャートの向こう側にいるトレーダーの心理、つまり市場心理を考える癖をつけましょう。